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「呼んでくれて感動」に感動

 これは介護の仕事に携わる私の知人(Pさん:仮称、20歳代女性)が、夜勤中に体験した話です。

 

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 その利用者(Lさん:仮称)はいつも夜中口癖で「〇〇ちゃーん」と、前の主任の名前を呼んでいたとのことですが、その夜初めて「Pちゃーん」と呼んでくれたそうです。

 認知症のあるLさんは、5分前の事も忘れてしまうのだそうですが、Pさんは毎日顔を合わせるたびに「私は誰でしょう?」と尋ね続けてきたそうです。

 そうして1年経ったその夜、初めてLさんが「Pちゃーん」と呼んでくれた時のことを、Pさんは「この仕事について1番感動した瞬間でした」と語っていました。

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 心が温まる、とてもいい話だと感銘を覚えました。また、認知症ケアを実践する介護のプロフェッショナルだと、Pさんのことを尊敬してしまいました。短期記憶障害のあるLさんに深い愛情を注ぎ続け、自分の名前を覚えてもらおうとあきらめずに試行錯誤を繰り返しながら寄り添い続けたその熱い想いがLさんに伝わり、1年間経ったその日ついに「Pちゃーん」と呼んでもらえるという、目に見える、そして耳に聞こえる形となって結実したのだと思います。

 厚生労働省によると2012年時点における認知症高齢者は、全高齢者の15パーセントにあたる462万人。そして「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる認知症予備軍は400万人とされ、医療や介護の体制整備が急がれているところです。

 「ノーマライゼーション」という言葉があります。これは、「障害を持つ人が、ほかの人々と同様に生活の糧を得て、住んでいる家庭や地域を動き回り、特別の集団でなく、障害を持つ普通の市民として生活をすること。誰でもが介護を必要となっても長年住み慣れ、親しんだ地域で、皆と一緒に生活したいと望むことは当然である」という考え方です。そして、「社会的な援助を必要とする人たちがいて、それが可能となる社会こそが正常である」というのがノーマライゼーションの思想であり、地域リハビリテーションのゴールです。

 Pさんの心のこもった、そして適切なケアのもとで、Lさんはきっと活き活きとした日々を送っていらっしゃることでしょう。認知症の人が、「認知症を持つ普通の住民」として生活の糧を得ながら充実した生活を続けるために、地域が一体となって支援をすることが重要であり、その中で老健施設が果たすべき役割は大きいと思います。そのことを再認識させいただいたLさんとPさんに感謝するとともに、Pさんを見習って頑張らなくては!と思った次第です。

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